線路の仕組み~レールの種類や装置

~線路に隠された秘密~

鉄道になくてはならない線路。その重要度のわりに注目度は小さいですが、旅客や貨物の輸送を文字通り下支えし、いまでも人知れず技術の進化が続いています。

~鉄道を支えるレールを分類すると~

レールは、1mあたりの重さと断面形状で分類されます。国内でもっとも広く用いられるレールが、1mあたり50kgの「50N」です。摩耗や折損に強い形状をめざし1961年登場し、1966年には材質も改良され、新幹線から地方幹線まで日本全国で幅広く使われています。
次に一般的なのが、当初は山陽新幹線用として1966年に開発された、1mあたり60kgの「60kg」です。ひと回り大きな断面でより大きい負荷に耐え、新幹線や重要幹線で使われています。そのほか、ローカル線には小さい規格の「40N」や古い規格「37kg」「30kg」などが残ります。
そして、古い駅のホーム上屋などに、さらに古いレールが転用されているケースがあり、これに関する調査研究が鉄道ファンの間で静かに広まっているとのことです。

~コンクリートが主流の「まくらぎ」~

レールが受ける荷重を、地面に分散ずる役割をはたすまくらぎ。その種類を材質で見れば、大きく4種に分けられます。
現在の主流は、頑丈かつ長寿命で入手が容易なコンクリート製。鉄筋コンクリート製もありますが、多くは鋼材の緊張力で補強したプレストレストコンクリート(PC)製です。これではもはや枕「木」ではないので、最近では木製のものを含め、「まくらぎ」と平仮名で表記するのが一般的です。
樹脂製は高価ですが、耐久性が抜群で加工が容易、軽量で衝撃に強い特性を生かし、分岐器など特殊な場所で活躍します。昔からの木製も、耐久性に劣りますが安価で樹脂製と同じ特徴を持ち、いまでもローカル線に多く残ります。鉄製は電気を通し鉄道の信号システムに悪影響をおよぼすため使用例は少ないですが、リサイクルが容易な長所を生かすべく、研究開発が続きます。
おもしろいことに、まくらぎの形状には流行があります。専門家が見れば、おおまかな製造時期がわかるそうです。

~締結装置の分類~

レールをまくらぎに固足する器具が締結装置です。地味ですが技術の粋を集めた重要部品で、この言葉を発すれば専門家の香りがただよいます。大まかな分類は以下の3つです。
締結装置の元祖は犬釘です。犬の頭に似た上部構造でレールを押さえる、大きな釘を枕木に打つタイプで、現在もローカル線に多く残ります。その後、犬釘の打てないコンクリート製まくらぎとともに進化した「板ばね式」は、国内でもっとも一般的です。おもに鉄板を2つ折りにしてボルトでまくらぎに固足、その先端でレールを押さえるタイプで、新幹線からローカル新線まで国内でもっとも広く使われています。
戦後の欧州で好まれた「線ばね式」は、1988年にJR東日本が使い始めてから、国内でも使用例が増えてきました。鋼棒をぐにゃりと曲げ、いっぽうを枕木に固足し他方でレールの脚部を押さえる。強力で安定した締結力を発揮するため、高速路線や大都市線のような、使用条件の厳しい路線で広まりつつあります。

~分岐器の分類???~

分岐器とは、いわゆるポイント分岐の設備のことで、その種類は多種多様です。直線の線路から1本の線路が曲がって分かれる「片開き」、左右均等に曲がって分かれる「両開き」、不均等なら「振分」、曲線の内側に曲線が分かれる「内方」、曲線の外側に曲線が分かれる「外方」、用途別で「高速用」「一般用」「上級線区用」「下級線区用」などがあります。
線路の分かれる角度は番数で表し、5度43分だと「10番」、4度46分だと「12番」、この数字が大きくなるほど角度が小さく、高速に分岐できます。1995年に上越新幹線を3回も半日部分運休して高崎~上毛高原間に設置した、上越新幹線の下り線が長野新幹線を分ける38番片開き分岐器が日本一巨大で、その総延長は約135mにもおよびます。
そして、これを「ぶんきき」と呼ぶか「ぶんぎき」と濁るかで、アマチュアとプロを見分けられるそうです。

~インフォメーション~

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