距離の短い長い線路の私鉄や鉄道

~長い私鉄はJR東日本~

日本で一番営業キロの長い私鉄は、実はJR東日本なんです。1987年4月の国鉄分割民営化に先立ち、1986年12月4日に成立した法律「日本国有鉄道改革法」「鉄道事業法」により、それまで国鉄と私鉄を区別していた法律「日本国有鉄道法」「地方鉄道法」が廃止されたため、現在はJRも私鉄も同じランクの鉄道事業者であるためです。

~JRは私鉄なんですよ~

しかし、それではだれもが納得しないでしょう。そこで現在でも慣例として、私鉄の営業キロのランキングはJR各社を除くことが暗黙の了解であり、573.7km(鋼索線(ケーブルカー)を含む)の近畿日本鉄道が私鉄日本一となります。この数字はJRグループ最短であるJR四国(855.2km)の約3分の2です。いかにJRの路線網が巨大であるかを、感じ取れるでしょう。

~日本最短の私鉄は、紀州鉄道でも芝山鉄道でもない~

和歌山県中部の御坊駅~西御坊駅の間、わずか2.7kmを結ぶ紀州鉄道は、長らく日本最短の私鉄とされていました。ところが2002年10月27日に、記録が更新されています。それが、成田空港建設の見返りとして、東成田から芝山千代田間の2.2kmで開業した芝山鉄道です。
じつは、この両社より、さらに営業キロが短い私鉄が存在します。先に紹介した鉄道事業法が、JRや私鉄や地下鉄に加えケーブルカー・モノレール・新交通システム・トロリーバスもその範疇とするため、京都市で山門~多宝塔間0.2kmを結ぶ鞍馬山鋼索鉄道を運営する鞍馬寺が、法律上における日本最短の私鉄なんです。

~営業キロ第2位の私鉄が入れ替わる~

今や、国内で補助金なしに自前の鉄道新線を敷こうとする者など誰もいません。一方で、長年運営していた鉄道をおいそれと廃止するのも忍びないので、営業キロのランキングはそう入れ替わることはありません。
2004年12月現在の営業キロで、第2位は名古屋鉄道で477.7km、第3位は東武鉄道463.3km。名古屋鉄道は2005年3月31日限りで岐阜市内線など36.6kmを廃止し営業キロが445.4kmに減る予定で、一方の東武鉄道は路線の開業や廃止の予定がないため、4月以降は順位が入れ替わりました。
名古屋鉄道は戦前に中京地方の鉄道会社を積極的に合併し、1941(昭和16)年には営業キロが500kmの大台を超えます。戦後に沿線では自動車産業の隆盛で他地域より早く車社会化が進展し、昭和30年代にローカル線を次々に廃止したものの、豊田線や知多新線などを建設し大台を確保していました。
しかし少子高齢化や車社会化のさらなる進展を受けて、21世紀に入って閑散線の廃止を再開、ついに3位陥落となってしまいました。

~営業キロに関する深く悩ましい問題とは?~

営業キロは、基本的には駅から駅までの線路の距離で、時刻表その他の資料を見れば簡単に分かります。しかし日本に約2万7000kmも鉄道があれば、そう簡単には片づかない区間が見つかるものです。
千葉県の成田空港駅には、JRと京成が乗り入れます。旧国鉄が成田新幹線用に建設し、計画の頓挫で放置されていた施設に、JR線と京成線への短絡綿を設けて、1991年3月19日から両社の電車が乗り入れました。遠い遠いと不評な成田空港が、これで少々近くなりました。
ここで問題を複雑にするのが、鉄道施設を成田空港高速鉄道が所有することです。
どの区間をどの会社の路線と見なし営業キロを何キロと見なすか、鉄道全線乗車を考える人たちが悩んでいます。
同じ問題は、関西空港にも当てはまります。また、阪急電鉄梅田~十三間の複線3本が、路線別営業キロでは2本分であったり、列車が走るのに営業キロがない路線や、営業キロがあるのに列車が走らない路線、資料により距離が異なる路線など、営業キロには深い謎が存在しています。

~インフォメーション~

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